桃太郎【Gulen】


「無駄な動きが多すぎるぞ!ヤマトタケル!」


「くっ!」


 さすがに、相手は父の師。


 動きに無駄がなく、また実践的だ。


 早さも十分、鬼は力こそあれど動きが鈍いとほざいたのは、どこのホラ吹きか。


 後ろの三人も苦戦しているようだ。


「確かに、こんな化け物相手では俺たちの国の雑兵が負けても、分からなくはない。」


「唐の親衛隊でも苦戦するでしょうね。」


「私が仙術を使わなければ、ならないとは・・・どうか、お三方。戦中にいうコトではありませんが、私の顔だけは御覧なさらないでくさいマシ。」


 ヤマタノオロチ相手では、後ろの三人の姿まで確認することは出来ないが、口調と、先ほどから響く、地響きと打撲音、金属音、風切りの音で、どれだけの苦戦を強いられているかは、大方想像つく。


 それにしても・・・乙姫はやっぱり、老婆だったか。


 浦島仙人の付き人というところから、感じてはいたが・・・


「オロチよ一つ聞きたい。どうして、それほどの腕を持ちながらも、鬼に成り下がった。どうして出雲に災いを成す!」


 劣勢になっている自分が言う言葉ではないかもしれないが、口にせざるを得なかった。


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