★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
―――大好きな先輩に賭けを挑んだのは、つい2日前の事。



『せーんぱいっ!!』



『…ったく、鬱陶しい奴だな。早く帰れっ』



帰りのホームルームが終わると、一葉はいつも、先輩のクラスの前で待ち伏せ。



先輩は受験生で、ホームルームが終わると、そそくさと帰り支度を済ませて予備校へと足を運ぶ。



先輩と会える時間は実に数分で、会えない日もあるから…今日という今日は腕を絡めて逃がさない。



『イブに雪が降ったらデートしてくれます?ね?せーんぱいっ』



ちょっとだけ頑張って上目遣いな一葉は、先輩におねだり。



『…しょうがない、…じゃあ雪が降ったら、な。出かけてやるよ』



表情一つ変えるでもなく、一葉の腕をベリッと音がする位に強い力で離して、仕方なく答えたかのよう。



けど、気にしないんだもんっ!!



一度切りのデートになったって、一葉には思い出になるもの。



半ば、強引に約束を取り付けたけど…

毎日、空を眺めては神様にお願い事。



雪が降りますようにって―――……



―――――――
――――――
――――…



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