Memory's Piece

夕妃を散々罵倒しながら自室に戻ったボクはシャワーを浴びていた。

夕妃がボクの近くにいる者に接触する可能性はかなり高い。

というか、必須と言ってもいいだろう。

真っ赤に染まった身体のまま戻って警戒しようかとも思ったけど今は頼兎や波狼だけじゃなく桃亜姉もいる。

血まみれな自分を桃亜姉に見られるのは・・・・・なんか嫌だった。

綺麗に洗い落とされたことを確認して、サキュバスルックに着替えたボクは髪の毛を高く結い上げて、街に繰り出した。

依然、ハロウィンイベントに盛り上がっているプレイヤー達を尻目に三人の気配を探る。

二人分はすぐに見つかった。

頼兎と桃亜姉だ。

あの二人は気配を消すと言うことに慣れていないから垂れ流し状態ですぐに分かった。

残りの一人の波狼の気配は何故か掴みにくい。

波狼が本気で気付かれたくなくて気配を消していればボクも全神経を集中させて探らなきゃいけなくなる。

それはかなり面倒だ。

とりあえずは二人の所に向かうことにしたボクはジャンプしようとして尻尾を振り、いつもとは違う感覚に眉根を寄せた。


「やりづらいな」


猫尻尾に慣れすぎたぶん、長さも太さも足りない悪魔尻尾に違和感を感じたのだ。


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