Memory's Piece


「信じたんだ?」


「…………」


「そっか」とボクは仄かに笑った。

波狼は、曲がった事が大嫌いで実直。

夕妃から聞いた話はきっと波狼にとって信じられないことだったはずで、こうなるまで沢山悩んだだろう事は手に取るように分かった。

夕妃は用意周到で計算高い。

波狼が自分側につくようにあらかじめ用意してたんだろう。

それに、ボクの予想通りなら夕妃がした話もあながち間違いじゃないから質が悪い。

ただ、視点が夕妃からかボクからかという違いがあるってだけだ。


「…………魅稀、俺は…」


「残念ながら、話すことはもう何もないよ。例え波狼と言えど、夕妃につくなら容赦しない。………ナギサ!」


「なんだい?」


大人しく傍観してたナギサがボクの呼びかけにスッと姿を現す。


「ここの権限を一度だけボクに貸して。悪いようにはしないから」


「良いよ。魅稀、手を。」


差し出された手をキュッと握ってボクは波狼をみた。

哀しそうな瞳に無表情のボクが写る。




バイバイだね、はろ

話すことは何もないんだ

だって………………――――だから









「ボクは、このエリアにボクとボクの認めた者以外が居ることを拒絶する。
よって不適合者を淘汰すべし。
………ボクが今はここのルールだ!」




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