Memory's Piece
零一が心配そうな顔で様子を伺うのに、苦笑しながら「大丈夫」と目線だけで言ってボクは空を見上げた。
ゲームの中とは思えない突き抜けるような青空だ。
唖然とボクの話を聞く頼兎にボクは淡々と話を続ける。
「ボクは幸いというか、お母さん達の随分前を歩いてて車が突っ込んで来た時に巻き込まれなくて無傷だった。でも、それがお父さんには許せなかったんだ」
「は?」
意味が分からないと頼兎が呼吸の合間に微かに呟くのが聞こえた。
「お父さんはお母さんを愛してたから。お母さんに似てる桃亜姉の事も愛してた。勿論、ボクも愛されてたけど、でもボクはお父さんに似てたから」
だからお母さんと桃亜姉が壊れた時、お父さんも壊れた。
「お母さん方のおじいちゃん達が金持ちで、桃亜姉の入院費はおじいちゃん達が払ってくれる事になって、だから桃亜姉はそれからずっと病院暮らしになった。で、必然的に家にはボクとお父さんだけになった。壊れたお父さんは、ボクが泣く度に殴って、笑う度に蹴るようになったよ。何かする度にお父さんの逆鱗に触れるんだ」
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