デスゲーム
「失礼ね。滅多にしないよ、あれは」

「はは、声かけられた瞬間に『ヴォゴン!』とかな。じゃ行くか」


今朝と同じで玄関までむかうと、白玉がどこからか出てきた。またお見送りのようだ。


「あ、白玉。もう帰るからね。バイバーイ」


沙弥が手を振っても白玉のムスッとした表情は変わらなかった。


「留守番頼むな。すぐ帰ってくるから」

「ニャー」


いよっし!反応した。沙弥に勝った。ガッツポーズをすると隣から不快な視線が送られた。


家を出て道中手を繋いで歩く。寒風が入り交じり、時折寒さを感じた。それでも、温かい会話で時間はあっという間に過ぎた。


「今日はありがとね。また明日」


沙弥の家が見える。明日になればまた会えるのに、少し名残惜しいな。


「おう、じゃあな」


離した手の温もりを、手を握り確かめる。ふぅ、自宅へ帰る沙弥を確認して後ろを向く。

しかし数歩進むと腕を何者かに掴まれた。この感じ、正体はすぐに分かった。


「沙弥か。どうした?帰りづらいなら同行するぞ?」

「ハァ…ハァ。そうじゃない。ごめん、ちょっと目閉じて」


走ってきたのか、息がやけに乱れている。
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