デスゲーム
とにかく言われるがままに目を閉じる。


「これでいいか?」

「うん。少しだけ、そのままでいて」


瞼にひんやりしたものが覆いかぶさる。沙弥の手だということは直ぐさま分かった。そして一呼吸置いた後…




やわらかい感触が




俺の唇と




重なった。






薄目をしても目の前は真っ暗なので何かは分からなかった。でも沙弥の身体が、顔が近くにあることは感じ取れた。

一瞬の出来事だった。やがてやわらかい何かは離れていき、沙弥の手も数秒後に離れた。


「ごめんね、了承もなしに。…じゃ、また明日ね」


沙弥はそう言い残すと、この場から逃げるように去ってゆく。あまりの展開に俺の思考回路は停止し、呆然と立ち尽くした。

とにかく頭が真っ白になり、考えることもできない。

誰も見ていた者はいない。俺と沙弥の関係を知っている者もいなかった。
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