デスゲーム
「今から時間……空いてますか?」


恐る恐る上目遣いで聞いてくる。急に態度が変わった。暗く、不気味ともとれるほどに。


「ああ、空いてるけど。どうした急に」

「……こっちです」


一言だけ言い残し歩を進める柊に不安になる。昨日のわがままぶりは微塵も感じられない。


それからバスに乗り、山奥のバス停で降りた。ここからは徒歩で行くらしい。学校からこの間、無言が続いている。


「こんな山奥に何があるんだよ?」

「………」


話しても返事はなく、ひたすら歩いているだけ。ずっと下を向いてて表情が分かりづらいが、悲しそうだった。


「……着きました。ここです」


目的地には木造の洋館が建てられていた。おおよそ3階建てか。

それを木が取り囲み、太陽の光を遮断している。ザワザワと葉が風で靡き幽霊屋敷に近いものがある。


「気味悪いなあおい。今からこん中入るのか?」

「…はい。ごめんなさい」


ん?謝られる理由が見当たらない。歩を止めない柊は吸い込まれるように館へ入っていった。


「おい、待てって」


取り残されても困るので、柊の後を追い建物に進入した。
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