デスゲーム
『泣かせたらダメだよ』、沙弥の声がこだまする。どうかしてたのか俺。

柊の手を気持ちが落ち着くまで握った。その後唇を噛み締め、弱々しく泣く柊を抱き締めた。


「…ごめん。俺、氷室の事ばっかで周りを見るの忘れてた。柊の言葉は一つも間違っていなかった。怒鳴ってごめん」


胸に埋もれる顔が静かに頷く。今さらになって柊の思いが強く、ヒシヒシと伝わってきた。


「俺こんなにバカで、情けなくて、キレたら自分で制御が効かなくなるけど…それでも側にいてくれるか?」

「うん…」

「また柊を傷つけてしまうかもしれない、誤った道に行くかもしれない、それでもいいのか?」

「うんっ…。その時はまた私が清水君を支えてあげる」


目が覚めた。今なら分かる。怒りに任せて行動してはならないと。身を呈して、柊が教えてくれた。


「すまん、『デスライン』に参加しちまった。傷つくのは柊なのに、勝手に決めてしまった。すまない」

「仕方ないよ。あんな事されたら誰だって取り乱すよ。…人質になろうとも怖くないから。信じてるからね」


何を言っても許してくれる柊に著しく落ち着いた。柊の元なら……安心できる。


家に帰り、その日俺達はソファーで肩を寄せ合って眠った。互いの存在を確かめ合うように…。
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