デスゲーム
家を飛び出してきた、あの豪雨の日か。あの時、小さな柊が更に一回り小さく見えた。


「行くあてもない、ただ街を彷徨っていた私に…あなたは居場所をくれました。嫌な顔一つしないで受け入れてくれました」


泣きながらも懸命に言葉を探している。夕日で涙がキラリと光る。


「守ってくれるとも言ってくれました。酷い事をしてしまった私を許してもくれました。

あなたは沢山のものを私にくれた。笑顔も勇気も優しさも…。もう清水君がいないと…私が壊れそうなんです」


好き…。どこかその感情から逃げたい自分がいる。


「俺、早く帰って作戦立てたいから……。そういうの…今度にしてくれ」


再び振り返って歩を進める。と同時に直ぐさま後ろから忙しい足音が聞こえ、俺の歩は再び止まった。

背中に…柊が抱き付いてきたからだ。俺のお腹に手を回し、温もりを感じる程に強く握る。


「行かないでください…。私何でもしますから…側にいさせてください。

このままじゃ清水君が、私の知らない所に行ってしまう気がして怖いんです。お願い、突き放さないで。…自分を見失わないで」
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