デスゲーム
自覚はなかった。俺の優しさが逆に柊を苦しめていることに。


「悪い、もう一度ビンタしてくれ」


パチンッと間髪いれずにビンタが飛んでくる。


「容赦ないのな。けどありがとな。…うっしゃあ、勝つぞ!!」

「うん、それでこそ清水君だよ。信じてるから」


テーブルに戻ると、再び冷たい視線と空気に見舞われる。


「作戦でも練っタか?ケケッ☆あとタイムは2回までダカラな」

「ああ。3歩進め」


氷室が驚いて俺を見てくる。想定外だと思わせる顔だ。


「ケケッ☆いいのか?さっきまでの意志が砕けるゼェ?」

「早くしろ。迷いはない」


柊の気持ちは十分分かった。あいつは自分の身がどうなろうと構わず、俺のために必死になってくれる。

そんで自分のせいで誰かの迷惑になる事が、著しく許さない性格なんだ。


「ン~♪『脇腹ぶっさし』っと。くらエ…」


人形の脇腹をナイフが突破る。それが意味するのは……。


「あう……。うぅ…」

「大丈夫か柊!!」


脇腹を抑えて四つん這いになる。苦しそうに歯を噛み締める。
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