デスゲーム
「つーことなんだよ」
状況を理解した黒崎はニヤッと笑った。嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
「なるほどな。だが今はまだ行くな、頃合ではない」
「何でだよ。雫がどうなっても…」
「少しは冷静になれ。今行ってまたビクビクしながら追われるつもりか?『お嬢様』なら立場上丁重に扱われる。怪我や被害はないと考えてもいい。
なら最後の土壇場でお姫様を救出した方が気が楽だし、かっこいいだろ」
考えてみるとそうだな。雫は旦那様の娘だ。手段は選ばないと言われてても、そう簡単に手は出せないはず。
「清水、お前は強運で良かったな。拉致られた雫ちゃんは安全だし、居場所も知ってる。あの場面、麻酔薬で無理に動かない方が事態はスムーズに進むんだよ」
少し頭を冷やそう。冷静になって考えると、確かに黒崎の考えは正しい。
「それで時間は?」
「23時30分に港着だ。お前なら残りの時間で助けれるはず」
俺の計算も同じくらいの時間帯。30分でケリをつける。