デスゲーム
理解した。こいつに雫は負けたんだ。で、負けた雫は俺に『デスゲーム』を教えた。

神崎とかいったな。あいつさっきから雫を睨み付けて怯えさせてる。

その雫の瞳からは涙がにじみ出始めた。



「違うよ……この人は…隼人君は…」

「何が違う?説明できてねえじゃねえか。はっきり言えよ、どうでもいい人を巻き込んででも生きたかったってなあ」

「そこまでにしろよ。お前に雫を壊す権利はない。過ぎた話をゴチャゴチャうるせぇんだよ」


雫の前に移動すると、ようやく神崎は俺を捕えた。今はあいつの注意を引くんだ。

このままじゃ雫はペースを持ってかれて精神が壊れかねない。きっと負けた時にとびっきりの恐怖を刻み込められたんだろう。


「お前何でそいつを庇う?そいつはお前の日常を壊した張本人だぞ?」

「あいにく、日常を壊されたのは雫と出会う前でな。俺も雫も『デスゲーム』に壊されたんだ。誰のせいでもねえ」


全ての根源は『デスゲーム』。そのせいで福家も沙弥も雫も俺も、他の皆も、普通の生活とはかけ離れた命の奪い合いをすることになってしまった。
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