デスゲーム
「大丈夫か?立てるか」


手をさしのべて身体を起こさせようとするが…


「ありが…ひゃあう」


雫は立とうとするがうまくいかない。正座を崩したような、座ったままで立つことができない。


「……腰…ぬけちゃいました」

「え!?」


この状況だ、嘘ではない。原因はおそらくさっきの神崎の死。あまりにもショックが大きかったんだろう。だがどうする?


「…私の事は構いません。私を置いて隼人君だけ先へ行ってください。そうすれば生き…」


「ダメだ!!…俺の気持ち言わなくても分かるだろ?二度とそんなこと言うな。早く乗れ」


背を向けて両手を強引に俺の首に回させる。よっと…ここからはおんぶか。

すぐさま急いで階段に向かい、上がってゆく。失ってたまるかよ。雫がいねえと俺の心が砕け散ってしまう。


「ぐすっ……うぅ……」


やがて背中から伝わってきたのはすすり泣きだった。

少し力を加えれば、痛みを生じてしまうような軽くて小さな身体。そんな身体にどれ程の大きな想いを秘めているんだろう。
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