デスゲーム
「俺じゃダメなら雫もいる。…俺の記憶見たろ?あいつは裏切ることを知らない。

他にも…きっと栞を分かってくれる人はたくさんいる。

だから一人で押し込むなよ」

「でも私は…分かってくれる人がいても……いつか傷つけてしまうから。そうゆう…運命なの」


とうとう鉄格子の前に着いた。そっとそれに触れると尋常じゃない冷たさが伝わってくる。

この冷たさが栞の心なのかは分からない。だが…ギュッとそれを掴んだ。


「なら運命を変えろよ!お前、人を傷つけたらそれで終わりだと思ってないか?

違うんだ。未来は潰れない。栞が求め、相手がそれに答えた時、笑い合える日は必ずくる。

だから閉じこもってちゃダメなんだ。勇気を出して一歩でもいいから進むんだ」


ここにきた時の、最初の影が俺の体にまとわりついてくる。俺を闇に引きずり込もうと影の手が掴んでくる。


「ここは栞の心。お前の心に光が差し込めばここは消え、現実へ帰れる。

さあ、早く出よう」


鉄格子の隙間から手をさしのべる。ここから出るのは栞の心も一緒だ。
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