狼王子に監禁されて




配達員の人は
荷物を渡す気配はなく
あたしの前に立って
「亜美さんいますか?」
と何度も聞いてくるだけ。




荷物を渡してくる様子もないし
あたしの下の名前を呼んでくる。




ちょっと鬱陶しい。




「亜美はあたしですけど
なにか用ですか?」





しつこいから
シブシブ自分が亜美であると名乗った。





そしたら
いきなりその配達員の人が
かぶっていた帽子を外して
あたしのことを
ジッと見てきた。





なにこいつ…。
目付きめちゃ悪いし。





その男は
あたしの足の爪先から
頭のてっぺんまで見ると
口元だけニッコリ笑って
こう言った。








< 4 / 379 >

この作品をシェア

pagetop