そこは、まるで。
「勘違いはしないでほしい、いなせ、俺はお前が三歳の頃から一緒にいる。お前は紛れもなく…誰がなんと言おうと…俺の娘だ。」

呟くように言うお父さんの言葉がやけに澄んで聞こえてくる。

「…お父さん…お父さんはどうするの??一緒に住むって、そうするつもりなの」

破裂しそうな心臓とは裏腹に、頭がどんどん冴えていくのが分かる。

「素直に言ってよ

傷付かないから」

あたしの目はどこを見ていたんだろう。

ただ、脳裏を優しく通り過ぎて行く、お父さんを独り占めできた記憶たちが…ただ泡のように消えていくのを見つめていたのか。
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