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「おい!実樹っ」
後ろから、将真の声がして
急に抱き寄せられた。
「……ぇっ?…しょ…ま「実樹さぁ…」
「……俺と一緒に帰んの、やだったの?」
そんな質問をされてる最中も、
私の心臓は鳴りやまない。
胸が、張り裂けそうなくらいに鳴ってる。
「…嫌…じゃ、ないよ…」
「じゃ、なんで逃げんの?」
私が精一杯声をしぼりだすと、
また、質問がきた。
将真の、あったかい吐息と
心臓の鼓動が聞こえる。
「待ってっ!ここ廊下だよっ誰が見てるかわかんな「いいから!」
「…放課後だし、もう誰もいないよ。
俺の質問に…答えて。」
振りほどこうとした将真の腕は、
私の弱い力じゃどうにもならない。
後ろを向こうとしても、
将真の顔すら見えない。