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私は諦めて、腕の力を抜いた。
「………いやだったの…」
小さい声で、そう呟いた。
「…なにが?…俺なんかした?」
「ううん……悠ちゃんのこと…」
私も、できるだけ
将真の質問に答えられるように、
小さい声で言った。
「…あぁ…名前呼びのこと?」
「……」
将真にすぐあてられた。
けど、そんなこと恥ずかしくて言えないから
うつむいてしまった。
『うん』、なんて
言えるわけない。
『好きだから』、なんて
言えるわけない。
そんなの…
将真にとっては、
迷惑でしか、ないんだから。
そんなことを思っていたら、
突然、将真の腕の力が強くなった。