恋するキモチ

ごめんなさい

「…は?お前、今何て…」

「だからぁ、別れてほしいって言ったの」

仕事が始まって初めての週末。
洋司に就職祝いをしようと言われていたが、それを断り、少し話がしたいと、近くの公園で待ち合わせをしていた。

どちらかの家での話し合いとなると、なんとなくうまく切り出せないような気がしたので、わざわざ外に呼び出し、私は別れ話を切り出していた。

「意味分かんねぇし。俺、何かしたか?」

洋司に言われて、うっと言葉に詰まる。


た…確かに、洋司が悪いわけじゃないから、あれなんだけど…


みんなで事件が終わったお祝いだと、飲みに行こうと誘われたのを(泣く泣く)断って、洋司との時間を作ったのだ。今日中に片をつけなくては、先に進めない気がして、少し焦っていたかも知れない。

「洋司が悪いわけじゃなくて、むしろ私が悪いと思うんだけど…」

もごもごと尻つぼみになる私の回答に、洋司はイライラしてきたようで、肩を強く掴んでゆさゆさと揺さぶってきた。

「だから、なんで別れたいんだよ。ここんとこ仕事でお互いあんまり会えなかったからか?」

言われて思わず首を横に振った。
そして後悔する。


あ、しまった。せっかくいい理由を勝手に向こうが作ってくれたのにっ!


「じゃ何が理由なんだよ!?」


…ですよねー。そう思うよねー。


思わず小さくため息が出た。
< 19 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop