―White Memory―
今思えば
あの時からあたしは灯吾に惹かれていたのかもしれない。
始まりなんてわからない。
でも、クリスマスのあの日。
灯吾があたしにとって大切な存在に変わったのは確かだった。
それから
年が明けた1月の終わり。
あたしは彼との恋に終止符を打った。
友達づてに聞いた話だけれど、彼は専門学校で色んな子に手を付けていたらしい。
あたしはずっと、彼に二股をかけられていた。
いや、きっと二股どころじゃないんだろう。
だけど不思議とそれを聞いても心は穏やかだった。
…理由は明確。
あたしは灯吾が好きで。
誰よりも傍に居たい、と心から思ってたから。
あんなにしがみついていた恋を、過去にするのは簡単だったんだ。
でも、すぐに心変わりするような軽い女には見られたくなくて
灯吾への気持ちはずっと誰にも、もちろん本人に打ち明けることもなく。
出逢って二度目の冬が来て。
11月の真ん中。
――約一年の歳月を越え
あたしは灯吾へ
告白することに決めたのだ。