―White Memory―


誰が理解してくれるだろう。

こんな矛盾だらけのあたしの恋心を。


だけどもう、限界なんだよ。




「…去年の、クリスマス…覚えてる…?」

「去年?…あぁ、長野行った時?」


うん、とあたしは視線を落として頷く。

相変わらず顔は上げられなかった。



「堀口くん、あたしに…言ってくれたよね?悲しい時、辛い時…思い浮かぶのは誰だ、って。」

「…うん。」

「あたしは…あたしはね、」



―――あの時。


雪化粧に染められたゲレンデを見つめながら、そう聞かれたクリスマス。

あたしは彼を思い浮かべられなかった。


あの時のあたしは

悲しい時、辛い時、傍に居て欲しい相手は彼じゃなくて。



そして、今。


そんな時に
傍に居て欲しいのは。

真っ先に思い浮かぶのは。




「あれから、ずっと……あたし堀口くんが――。」


好きだった。

そう口にしようとした瞬間、あたしの言葉は遮られた。

唇も、視界も。



灯吾で塞がれた。





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