―White Memory―


「―――え?」

驚いて顔を上げれば
あたしの髪を撫でた灯吾は、そのままあたしを抱きしめた。



「だって不安なんでしょ?」

「………、」

「寂しがりやだからな、聖華は。」



どうして。

どうして、灯吾はあたしの気持ちがわかるんだろう。



ぎゅっと灯吾の背中に手を回して顔を埋める。

それに応えるように、あたしを抱きしめる灯吾の腕が少しきつくなった。


「ね、聖華。そうしようよ。」

ぽんぽん、と子供をあやすみたいにあたしの背中でリズムをとる灯吾。


「狭いなら、少し広い部屋引っ越そう。俺は学生だけど、バイトもするし。家事だってやるよ?」


そんな灯吾に、あたしはくすくすと笑う。



「灯吾も…。」

「ん?」

「灯吾も、不安なの?」


今までみたいに
会えなくなること。

もしかしたら、灯吾も不安なの?



そう尋ねたあたしに、灯吾は体を離して「そんなんじゃないよ」と言った。


「俺は不安に負けたりしない。」

「じゃあ…、」


何で?と問い掛ければ
灯吾はもう一度自分の胸にあたしを引き寄せて言った。




「ただ、聖華の傍に居たいから。」





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