心の距離
勝ち誇ったヒデの口調は、苛立ちを募らせるばかりだった。

張り詰めた空気の中、彼女は困惑した表情で、少し言いにくそうに告げてきた。

「あの…私帰りますね」

「え?なんで?飯、食って行きなよ」

あたかも、自分の家のように彼女を引き止めるヒデ。

「ご飯作っちゃったし、真理子さん帰って来たから…お邪魔しました」

彼女は答えながら立ち上がり、逃げ出すようにリビングを後にした。

「あ…送るよ!」

慌てて彼女を追いかけるヒデ。

…なんなんだよアイツ!梨恵が居るクセによ!…

部屋に戻り、財布を取った後、急いで彼女と母親が話している玄関に向かった。

「瞬?どっか行くの?」

「…タバコ買ってくる」

「そう。ことみちゃん、送ってあげてね。ヒデ、彼女から呼び出されてるから」

「わかってるよ」

苛立ちを抑えきれず、母親に冷たく当たってしまった自分。

3人で家を出た後、ヒデは携帯を耳に当てながら駅に向かって行った。

彼女と二人きりになっているのに、苛立ちは鎮まる事も無く、黙ったまま大きくため息をついた。

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