心の距離
「ちゃんと食べるのよ?」

「わかってるよ。兄貴には連絡しておくね」

「良いわよ。耕介も家庭があるんだし。年末位帰って来なさいよ?」

「…気が向いたらね。じゃあね」

後ろ髪を引かれる思いで玄関を後にし、段ボールを抱えながら駐車場に向かった。

車に荷物だけを乗せ、彼女の家へゆっくりと歩いた。

…急に行ったらビックリするよな。電話は…しない方が良いか。番号バレちゃうし、非通知だと出ないかもしれないもんな…

思いを踏み締めるようにゆっくりと歩き、彼女の家の前に着くと、一気に緊張が体中を駆け巡った。

言いたい事も纏まらないまま、家のインターホンを押そうとすると、いきなり扉が開いた。

「ックリした…どうしたの?」

驚いた表情をしながら聞いてくる彼女に、うつむきながら小さく告げた。

「…話したい事があるんだ」

「あ、散らかってるけどどうぞ」

「良いよ。すぐ行かなきゃいけないし…ここで良いよ」

「え?…じゃあ、せめて玄関位入って」

何かを悟ったように告げてくる彼女。
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