心の距離
サービス玉をスタートチャッカーに入れ、ことみちゃんはニッコリ笑いながら告げてきた。
「お待たせしました」
軽く会釈をしながら席に着くと、台は派手な音と共に、全回転リーチをし始めた。
呆然としながら台を眺めていると、全回転リーチは確変絵柄で止まってしまった。
「…消します?」
「いえ、そのままで大丈夫ですよ」
「でも…」
「サービス玉ですから、お客様の出玉です」
「…ありがとうございます」
…お客様か…
夢の中ではあんなに話しているが、現実では名前も知られて無い。
自分にとっては、女性として気になる存在だが、彼女にとって僕は常連客の一人。
残酷過ぎる程、無情に思える現実に、ため息ばかりがこぼれ落ちた。
ため息がこぼれ落ちる度に出玉は増え、気が付くとことみちゃんの引いてくれた当たりは大爆発。
自分の中で決めた時間を遥かにオーバーし、結果は12万のプラス。
翌日が休みのせいか、焦って帰る事も無く、勝った喜びと、名前を知られていない切なさを引き摺り、複雑な気分のまま帰宅した。
「お待たせしました」
軽く会釈をしながら席に着くと、台は派手な音と共に、全回転リーチをし始めた。
呆然としながら台を眺めていると、全回転リーチは確変絵柄で止まってしまった。
「…消します?」
「いえ、そのままで大丈夫ですよ」
「でも…」
「サービス玉ですから、お客様の出玉です」
「…ありがとうございます」
…お客様か…
夢の中ではあんなに話しているが、現実では名前も知られて無い。
自分にとっては、女性として気になる存在だが、彼女にとって僕は常連客の一人。
残酷過ぎる程、無情に思える現実に、ため息ばかりがこぼれ落ちた。
ため息がこぼれ落ちる度に出玉は増え、気が付くとことみちゃんの引いてくれた当たりは大爆発。
自分の中で決めた時間を遥かにオーバーし、結果は12万のプラス。
翌日が休みのせいか、焦って帰る事も無く、勝った喜びと、名前を知られていない切なさを引き摺り、複雑な気分のまま帰宅した。