心の距離
凄く新鮮な筈なのに、新鮮味を感じさせない彼女の答え。

缶酎ハイと氷の入ったグラスと、灰皿をテーブルに置くと、彼女は隣に座り、タバコに火を点け、ため息混じりに煙を吐き出した。

「…話しても良いかな?」

「良いよ」

彼女の肩を抱きながら返事をし、缶酎ハイを一気に飲んだ。

「…高校卒業してから、すぐに一人暮らしはじめたの。昼は専門行って、夜は親友の美優と時給の良いパチンコ屋さんでバイトして、凄く忙しかったけど、凄く楽しかった。この前電話に出て貰った女の子も、そこで知り合ったんだけど、第一印象から好きじゃなかった。なのに、携帯の番号聞かれて、断る理由が思い浮かばなくて、渋々教えたら誘いの電話がかかってきて…来ないなら家に行くって言われて、仕方無く駅前のカラオケに行ったの。絵美達凄い飲んでて、その場に居た男の人とその場で…怖くなって、トイレ行くって言ったまま、美優の家に逃げちゃった。それ以来、ずっと嘘つきとかノリ悪過ぎとか頭悪いとか言われ続けて…凄く嫌だった。その時にね、その店の社員だった聖が相談に乗ってくれたの。クビにすると、職権乱用になるから、絵美が誘え無いように付き合おうって言われて…」
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