Hurly-Burly 【完】



***


Said:馨


日和ちゃんはたまに恐ろしいほど無知で

この歳ではありえないほどの純粋な心と

一緒に鈍感という厄介なものを抱えてる。

スキンヘッドのヤツと一緒に何かを語ってる

日和ちゃんを横目にこの場に流れた小さな

違和感ってヤツを考えて見た。

そういえば、日和ちゃんのことを全然

知らない気がした。

毎日、誰かが送ってるとはいえ、正確な

家の位置さえ知らない。

いつもここで十分だよって笑う日和ちゃん

にあまり家を知られたくないのかと思った。

この前の事件の時も親に連絡をするべき

だと思ったが、相沢が言葉を濁した。

『日本には居ねぇからな。

俺が保護者ってことになってるから、

さっさと要件言いやがれ。』

そんなこと言ってたな。

日和ちゃんはいつも元気そうで、

何ともなさそうに笑ってる。

この前の旅行の時も親の話が

出てたけど、笑ってたな。

でも、両親も兄貴も居ない家で

1人暮らすってどんなものだろう?

俺には想像できなかった。

俺にはまだ千治とか6人が居るから

いいけど、日和ちゃんは家に帰っても

誰も居ないことをどんなふうに思うんだろう?

そんな日和ちゃんがたった今。

今までどんなに見てきた笑顔の中で

一番嬉しそうに笑って言ったんだ。

『あははっ、うん。

すごく好きだからね。』

知らないことが多すぎる。

日和ちゃん自身が分からないと言ったところ

なんだろうか?


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