Hurly-Burly 【完】

でも、まぁこれぐらい読めて普通か。

「貴女、もしかして主席だったのに辞退して

学校変えたっていう・・・」

ああ、それあたしだ。

勿体ないことしたと言われたけど、あそこに

行くのだけは嫌だった。

受験はしたけど、行く気なんてこれっぽっちも

なかったんだよね。

まぁ、入学当初は今の学校があまりにも嫌で

行けば良かったなんて思っちゃったけどもね。

「あ、あははっ」

主席って言ってもただ単に受けたら受かって

しまったのが事実なのよね。

そこまで受験勉強してなかったからなー。

行く気全くなかったものね。

「いいな・・・・」

その子がため息を吐きながら参考書を持つ手が

ユルユル脱力していく。

でも、そこの学校に通うぐらいって言ったら

奨学金借りていくとかお金持ちじゃないと

とてもじゃないけど学費高いんじゃなかったかな?

「お嬢?」

セーラー服がとてもお似合いだよ。

気品があるし、もしかしてとは思ったのよ。

休みの日に学校ってあたしは絶対に嫌だな。

「はぁー」

嫌なことでもあったのかな?

苛められてるとかさ、成績悪・・そうには

見えないけどさ。

人間生きてればぶつかる問題はたくさん

あると思うんだよね。

「お姉さん、あたしで良かったら聞きますよ。」

影を落とすその瞳は誰かに似ているような

気がしなくもなかった。

「別に大したことはないから・・」

言ってることと顔が全然違う。

あたしがあげたお菓子の包装しを

綺麗で細い指を動かし取ると、

「これ、貴女が?」

ええ、そうですよ。

食べるつもりではなかったけどさ、

この間のお礼を届けに行った余りものなんだけどね。

あたしは甘いの苦手だから極力砂糖が入ってない

ヤツとナル君とちぃー君用に甘いのと。

マフィンを作ったのである。

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