Hurly-Burly 【完】

受け身を取ろうにもすでに地面に叩きつけられてた。

「ヒヨリン、それ絶対に違うっ!!」

ナル君がぎゅうとしがみついてきた。

「うおっ」

背中が仰け反るぞ。

エビ反りみたいになっちゃうよ。

「ナル、日和ちゃんが折れる。」

馨君!!

あたし、シャープペンの芯じゃないんだよ。

そんな折れはしないと思う。

「ヒヨリン、ナンパとかに気付かない

んじゃないの?」

いや、されたことがないのよ。

怪しい勧誘とか道を聞かれたりはするけどね。

「されるわけないじゃん。

あたしちんちくりんだしね。

されたらむしろ奇跡だね!!

感謝しなきゃならないね!!」

サユのは嫌ってぐらい見て来たからな。

しかも、全部サユはこっぴどく断ってる。

「感謝しちゃ駄目だってば!!」

ナル君、あたしはモテ期というのが

一度も来たことがないんだが!!

一度でもいいから経験してみたいものだよ。

人生にモテ期は3度来ると言ったヤツは

あたしのモテ期は永遠に来ないというのか??

「でも、心配だね。

何かあってからじゃ遅いからな。」

馨君、あたしを襲う人とか想像出来ないよ!!

「へーきだよ!!

兄ちゃんに言われて鞄の中には常にタバスコがある。」

あの訳わかんない兄ちゃんはあたしに何かあると

心配だから常にタバスコ持ってなさいと言い張った。

タバスコを相手の顔に掛けるとダメージを食らう

とか兄ちゃんが言ってた。

「おめーの兄ちゃん頭イってんな。」

そうなんだよねー、慶詩君。

「ありえないほど頭いいけどね。

多分、一周回って馬鹿になったんだ。

よく言うじゃないか、天才と馬鹿は紙一重って・・」

あれ、兄ちゃんのことだ。

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