Hurly-Burly 【完】
ふとちぃー君横顔をこっそり覗き見た。
ありえないほど、美しいお顔に肩に触れる
手が何とも言えん。
「そこのひーちゃんはさ、ありえないほど
優しい子なんだよ。自分で分かってないのが
さらにムカつくけど、自分には厳しい癖に・・・・」
それ、褒めてるのか?
あんた、本当に分かりにくい性格だよ。
「それは分かってる。」
馨君がボソリと呟く。
「精々、大事にしてくれよ。」
それでも、やっぱりあんたはそうか。
まだ、忘れてないんだね。
傷はやっぱり深いのか。
あんたの背中はいつだってそうなんだ。
あたしはポケットからイチゴ味のキャンディー
を1個取り出してプリントを持って教室を去ろうと
する悪魔の背中に向かって投げつけた。
それはもうすごい威力で背中に叩き込んだと思う。
「・・ひーちゃん、今日は暴りょっ・・・」
床に転がったキャンディーを見つめて、
「・・・・・・お前嫌だ。」
それを拾いあげる悪魔は後ろ姿しか見えなくて
表情は読み取れなかったけど多分言ってること
と逆だと思う。
廊下に消える背中は少しだけ強くなったように
見えたから何も言わなかった。
「日和ちゃん」
「意味の分からない男だ!!
一体、何をしに来たんだ。
まさか、あたしの仕事に文句でも・・・」
一々、頭に来るというか。
素直になれないヤツというか。
まぁ、でもお兄ちゃんの言うことも分からなくはない。
そこが、ほっとけないって言う。
「お前はどうしたい?」
急にちぃー君の声が耳に届いた。
どうしたい、それはやっぱり関わるとか
関わらないとかそういう感じのことかしら?