Hurly-Burly 【完】

物心がつく前からずっとあたしは助けを

求めるようなか弱い子にはなりたくない。

自分の力で歩けるように何でも出来る子

になれるようにと努力をした。

小さなことから少しずつ自分に出来ない

ことはまるでないとでもいうかのように

一人でも大丈夫だということを家族に

証明したかった。

小さいあたしを置いて仕事に出かける

母親を見て強く生きようと決意した。

心配されるような子じゃなく、一人でも

お家を守れるぐらい立派な子になりたかった。

放浪の旅に出た父がたまに様子を見に、

帰っても温かいご飯を作って綺麗に

整頓されたお家で待ってようと

思ってた。

だから、自分から誰かにお願いを

したりすることはあたしのプライド

が許さなかった。

蕁麻疹になっても風邪を引いて高熱

で魘されてもたった一人で頑張った。

病院にだって這いずって行った。

作業を無心になってやった。

頭痛と戦いながらも死ぬ物狂いで

終わらせようと努力した。

放課後の夕日が入る教室であたしの

ホッチキスを止める音が響く。

「なぁ、手伝ってやろうか?」

いつにも増して頭痛で吐き気がして、

眩暈で視界がぼやける。

金髪ヤンキーが無造作に髪を掻く。

「そんなの要らないわ。」

頑固だと言われようがいいの。

これがあたしでそれ以上でも以下でもない。

誰かに助けてなんて言えやしない。

それをあの悪魔の貴公子どもは知ってる。

あたしが助けを求めないで一人で

やってのけてしまうことを心底

悔しそうに見ているだけしかないんだ。

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