Hurly-Burly 【完】

あたしがどう思ってるか聞き出そうと

しているんだろうなと思った。

馨君のピンク色に近い赤い髪が

夕闇で綺麗に見える。

まさか自分が男の子と一緒に帰る日が

来るとは思わなかった。

今日のことだってあたしのシナリオ

には全くなかった。

けど、楽しかったんだ。

あの周りの雰囲気は温かく迎えられて

居るみたいでホッとしちゃった。

あんなの初めてだった。

最近起こることは何もかもが新鮮で、

あたしの世界観を壊していく。

あたしはちゃんとしなきゃいけないって

思いを打ち砕いてしまうようなそんな

出来事ばっかりで・・・忘れてしまいそうになる。

「嫌じゃないよ・・多分」

馨君が目を細めて笑う。

全く、この人は自覚してるんだろうか?

その顔は凶器だ。

恐ろしい隕石に違いない。

「素直じゃないな。」

よく言われるよ。

意地っ張りだともな。

しょうがないじゃん。

だって、顔がにやけそう。

嬉しいってバレたら笑っちゃうよ。

「何、その顔。」

必死で顔に力を入れる。

「馨君はあたしと仲良くしてくれるの?」

ユルユルと崩れていく。

顔面の力が消失する。

「そのつもりで送ってるんだけど?」

もう馨君・・・嫌だ。

この人と一緒に帰るんじゃなかったよ。

その綺麗な顔で笑うなんてドキッとして

しまったではないか。

今日はきっと嬉しくて寝れない。

ジョセフィーヌともふもふしながら

思い出しちゃうだろうな。
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