D i a r y

彼女は、おれを失う。

おれは、彼女を失う。

離れ離れになるだけならまだいい、

いつかまた交わる可能性があるのだから。

でももう、けして交わらないのだ。


雨は、生きてく。

おれは、死んでく。



もう一度、雨を抱きしめた。

雨を守らなければと思った。

雨を生かさなければと思った。

だから、聞こえないように呟いた。


「さよなら」


雪が、降り出したのを見ながら

いつまでも雨の髪を撫でていた。
< 35 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop