D i a r y

さよなら


目が覚めて、キスをして、

服を着替えた。

けして、
雨に背中を見せなかった。

こんなもの、今の雨にとって重荷でしかない。



雨が好きだという
スーツを着て、
雨にネクタイを結んでもらう。

すべての動作が
「最後の」ものになると
雨は知らない。



でもそれでいい。




「ごはんはちゃんと食べるんだよ」

「野菜も食べるんだよ」

「たまには連絡してよ」

「好きな子と、頑張ってね」

「風邪ひかないようにね」

「来てくれてありがとう」

「会えて嬉しかった」


すべての言葉がなんでもないのに、


とても優しかった。



泣きそうで返事ができなかった。
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