同級生-Memories-
それから半年くらい、俺に他に好きな子が出来るわけでもなく。

授業とバイト、サークルで暇な時間がないくらい毎日充実していた。


2年の夏休み直前のある夜。

‐ピンポーン‐

自宅で試験勉強をしていると、インターホンが鳴って。

時計を見ると、夜の10時を過ぎたところ。

試験前のこんな時間に誰だ?

ゆっくりドアを開けると、そこには泣きはらした顔の岡島がいた。

「飛田君…」

真っ赤にはれた目で俺を見上げる岡島は、俺が明けた扉から体を滑り込ませるとそのまま俺に抱きついてきた。

「え、岡島?どした?」

一瞬の出来事で、何が起きたかわからなかった俺はしっかりと背中にまわされた岡島の腕に、心臓の動きが激しくなってしまう。

やばいよ、俺の鼓動、絶対にばれている。

俺の胸辺りに岡島の顔があるから、いつもよりもずっと早くなっている心臓の動きはきっとばれていて。

「…もうやだぁ」

沢山の涙でぐちゃぐちゃなその顔で俺を見上げた岡島に、俺は我慢が出来なくてそっと口付けをした。


「飛田君…」


俺の背中にまわされていた腕が、俺の首に巻きついてくる。

そのままどちらからともなくベッドになだれ込み、朝まで何度も岡島を抱いた。
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