脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「はぁ……」
ため息の上に、またため息の痕が重なった。
カーテンを閉めてリビングへ行くと、
カウンターの上におにぎりののった皿が置いてあった。
グラスに注がれたリンゴジュースもある。
三角コーナーにリンゴの皮が捨ててあって、
キッチンの周りには、甘酸っぱい香りが漂っていた。
……わざわざ作ってくれたんだ。
こくんと一口飲むと、リンゴの香りが広がって、急にお腹がすいてきた。
おにぎりの皿とリンゴジュースを手にとって、ソファに座った。
目の前に広がる夜景を見ながら、おにぎりをかじる。
流川のおっきい手で、どうやってこのサイズににぎったんだろ?
そんなことを思いながら、私の手と胃にちょうどいい大きさのおにぎりを頬張った。
「美味しいや」
流川のいない、ひとりぼっちのリビングはしんとしている。
そういえば、あれから誰も来ていないんだっけ。
私が病人だから、一応遠慮してるのかな。
「外では普通に会ってるのかな、香穂ちゃんと」
ガラス窓に映る私の姿は、抜け殻みたいだ。
窓の外に散らばる装飾がわざとらしく私を包んでいる。
「……寝よっと」
お皿とグラスを片づけて部屋に戻った私は、また負の空気に包まれた。