脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+

「はぁ……」


ため息の上に、またため息の痕が重なった。



カーテンを閉めてリビングへ行くと、


カウンターの上におにぎりののった皿が置いてあった。


グラスに注がれたリンゴジュースもある。



三角コーナーにリンゴの皮が捨ててあって、


キッチンの周りには、甘酸っぱい香りが漂っていた。



……わざわざ作ってくれたんだ。



こくんと一口飲むと、リンゴの香りが広がって、急にお腹がすいてきた。


おにぎりの皿とリンゴジュースを手にとって、ソファに座った。



目の前に広がる夜景を見ながら、おにぎりをかじる。


流川のおっきい手で、どうやってこのサイズににぎったんだろ?


そんなことを思いながら、私の手と胃にちょうどいい大きさのおにぎりを頬張った。



「美味しいや」



流川のいない、ひとりぼっちのリビングはしんとしている。


そういえば、あれから誰も来ていないんだっけ。



私が病人だから、一応遠慮してるのかな。



「外では普通に会ってるのかな、香穂ちゃんと」



ガラス窓に映る私の姿は、抜け殻みたいだ。


窓の外に散らばる装飾がわざとらしく私を包んでいる。



「……寝よっと」



お皿とグラスを片づけて部屋に戻った私は、また負の空気に包まれた。


< 180 / 404 >

この作品をシェア

pagetop