僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「ほな、話します? ケーキも食べたことやし」
やっぱり喉を通らなかったケーキは、遊志のお腹の中。代わりにあたしは、もの凄いペースでココアを飲んでいた。
「やっぱり祠稀……何かしてるんですか?」
「ん~。俺はよう分からへんから……そんな時にはこちら! 柴 大雅ぁ~! パラララッパラ~!」
有須の問いに、全く似てない国民的アニメの物真似をした遊志は、大雅に肩を掴まれる。
「遊志? 殴られるのと蹴られるのと絞められるの、どれがいい?」
「なんなん!? 雰囲気和ませよ思た、お茶目な遊志心やん!」
「あはは、……それで?」
「なんでもないですどうぞお話しください」
笑顔で『それで?』とか言う大雅に、遊志はいよいよ命が危ないと悟ったらしく、大人しくなった。
あたしはぬるくなったココアを一口飲んで、大雅を見据える。
「俺も、特別詳しいわけじゃないよ。ただ、存在は知ってるだけで。何が真実で、どれが嘘かなんて俺には分からないってことは、頭に置いといてくれる?」
「存在……?」
ぽろりと口から出た言葉に大雅は遊志を見て、あたしに視線を移すと溜め息をついた。