年上の先生
私はそこで目が覚めると、
先生は心配そうな顔を、
して私の手を握っていた。

「静大丈夫か?
うなされていたけど?」

「うん・・。」

私はベッドに起き上がっても、
先生は手を握り締めたまま。

「先生の奥さんが、
夢の中に出てきた。」

「家内が?」

「うん。
生きて欲しいと言われた。
胸が無くなっても、
生きて先生の傍にいて欲しいと
訴えてきた。」

私は涙ながらに言葉を
詰まらせながら、
懸命に話を続けた。

「私は再発をして、
全部取ると言われたとき、
死にたくなった。

けど、
先生の傍で生きていたい。」

私は先生の手をぎゅっと
握り返した。
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