空をなくしたその先に
「僕と彼女はそういう関係じゃないけど。

うかつに手を出さない方がいいと思うよ?

相当腕っ節、強いから」

「彼女がお前と一緒にいるなら、そのうち機会もあるだろうさ」


彼ならやりかねない。

二等客室から、彼の部屋へ移動してはどうかという提案を丁重に却下して、ディオはダナの元へと戻る。


「あれ、誰よ?やな感じ」


ダナが下唇をつきだした。

じゃあな、と軽い様子で手をふり、待っていた女性たちを従えて、フレディは船内へと降りていく。


「従兄弟。正確な関係を言うと父の妹の息子」

「何でこんなところにいるわけ?」

「ルイーナには彼の家の別荘があるからね。

そこにいたんじゃないかな」

「避暑って季節も終わろうとしているのに、今頃、ねえ」


ディオがいくら言葉をつくしても、ダナはフレディに対する疑いをはらそうとはしなかった。
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