空をなくしたその先に
自分の声ではないような気がした。

ひどくしわがれている。

部屋を横切ってきたダナは、タオルを拾い上げてソファの上に放り投げた。


「何があったの?」


問いかける声が、動揺している。

ディオの隣に座ると、ダナは力づけるようにディオの手に手を重ねた。

ぐらりとディオの体がゆれた。
ダナに全体重を預けるようにして、ディオは浅い呼吸を繰り返す。


「気持ち悪い?横になる?」


次々にたずねるダナに首をふっておいて、ディオは自分の意志で体勢を立て直した。


「ラジオのニュース」


言われてダナは、ラジオの方を見た。

ニュースは終わってしまっていて、再び音楽が流れている。


「ニュースが、どうかした?」


ぴたりとディオに寄り添って、ダナは彼の肩に片方の腕を回した。


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