空をなくしたその先に
「マリアンヌの店に連れていってやっただろうが?」

「その話はなしだってば!」


慌ててディオは手をばたばたとさせる。

確かに楽しい体験だったが、その手の店は一度行けば十分だ。

ダナの前でその話をされるのは非常に困る。

「じゃあさー、俺にゆずれって。

俺赤毛って好みなんだよな。

気が強い子が多くてさ……あれ?」


フレディは首をかしげた。


「あの子昨日赤毛だったか?」
「あれかつら。目立つからね」
そんな会話を交わしている間に、寝室のドアが開き、

着替えたダナが出てきた。


「あのさ、やっぱり今夜は俺と一緒に……」


すかさずフレディが近づく。

ディオの目には、ダナはほとんど動いたようには見えなかった。

鈍い音がする。

フレディは体を二つに折ってうめき声をあげた。


「今度触ったら、ひっぱたくって言ったでしょ」


拳を打ち込んだ体勢のまま、平然としてダナはフレディを見下ろす。
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