空をなくしたその先に
ディオは本棚の中から小説を選んで、

ダナの寝そべっているのとは別のソファに座った。

彼女は踵をぶらぶらさせたまま、雑誌を眺めている。

二人とも口をきかない。

出会ってから初めての平和な時間だった。

この静寂を破りたくないと願う程度には。

左側に重みを感じて、ディオは目をあげた。

思っていたより夢中になっていたらしく、物語は中ほどまで進んでいる。

音も立てずに移動してきたダナが、
ソファに横向きに座って、ディオに体重を預けていた。

足もソファの上にあげてしまっていて、
ブーツは床に仲良く並べられていた。

「……何?」

「落ち着かないの。広すぎる」

「落ち着かないって……」


ディオからしてみれば、広すぎるなどということはない。

確かに寮では狭い部屋で生活していたが、
国にいる時はこの数倍もの広さの部屋を一人で使用している。
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