空をなくしたその先に
ディオは、今までのことに思いをはせた。

結局、ダナは全ての夜をディオのベッドに潜り込んできた。

どきどきして眠れないのではないかと心配していたのはディオだけで、

それでも案外眠りにつくのはたやすいことだった。

悪夢を見なかった、とはいえない。

自分だけが生きているという後ろめたさは、

昼間の間は追い払うことができていても、

夜になると無意識の世界からディオのもとへとやってくる。

うなされて目が覚めた時、ダナは黙って身を寄せて髪を撫でてくれた。

とても優しい手で。

眠れないまま、
暗闇の中で目を開いている時に聞こえる彼女の穏やかな寝息。

人が近くにいるというだけで、こんなにも安心できるのだということを今まで知らないでいた。

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