空をなくしたその先に
港を走り抜けて目についた路地に飛び込んだ。

適当に右左と角を曲がって、港から遠ざかろうとする。

運動慣れしていない身体は、すぐに悲鳴をあげはじめた。

わき腹に痛みが走り、息が乱れる。

誰も後ろからついてきていないのを確認して、ディオは走るのをやめた。

息を整えながら、それでも足を止めることはない。

荷物の入ったスーツケースは途中で放り出してしまったから、何も持ってはいない。

このあたりで曲がろうかとディオは路地をのぞきこんだ。

行き止まりだ。

肩をすくめて歩きだそうとした時、何かに突き飛ばされた。

無様な格好で地面にたたきつけられ、一瞬気が遠くなった。

シャツの喉元をつかんで、無理矢理立たされた。

「ディオ・ヴィレッタか。あれはどこにある?」

低い男の声が問いかけた。

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