空をなくしたその先に
「そういや、坊主と嬢ちゃんはカーマイン商会に保護されたらしいな」


頭の上からライアンの声がふる。


「あらそう。

それなら、近々決着をつけることになるのかしら?」


冷静さを装って、肩をすくめてみせる。

最初から王子が道中で死亡することなど期待などしていなかった。

ダナが一緒なら、どんな手を使ってでもディオだけは無事に戻れるように手配するはずだ。

そういう意味では今でも信頼している、と言える。

ディオが無事に王都に着いたなら、
マグフィレット王国は、史上最大の力を手に入れることになる。

空の支配権をその手におさめてしまうほどの。

その前になんとか止めなければ。

空を誰かに独占させることなんてできない。

そのために自分はここにいる。
このまま突き進むしかない。

サラは並ぶライアンにちらりと視線を投げて、足を速めた。
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