空をなくしたその先に
ずいぶん懐かしい名前を聞いたような気がする。

あれからせいぜい一週間というところだ。

確かにあの船の部屋は狭かった。

快適な居住空間を提供するための船ではないから、当然ではあるのだけれど。

ダナの思考は、過去へと遡っていく。

それだけはやめようとしていたはずなのに。


「病院もね、ものすごく贅沢な部屋だった。

知らない人が見たら、本当に病室かって疑っちゃうくらい」


ころん、とディオの方に寝返りをうってダナは枕に顔を埋めた。


「ビクトール様が一番いい部屋を用意してくれたって聞いたけど。

身体が動かない間は、ずっと一人で天井見上げていて、

会う人と言えば、サラ様か看護人くらい。

泣いているところを誰にも見られなかったのはよかったけれど。

贅沢な部屋は嫌い。病室を思い出すから」


何と返事したらいいのかディオにはわからない。

仕方がないから、黙って彼女の話を聞いている。


< 310 / 564 >

この作品をシェア

pagetop