空をなくしたその先に
「あたし、空に戻れないかもしれない」


ディオの肩に顔を埋めたまま、ぽつりとダナがつぶやいた。


「戻れなかったら、僕と一緒にきたらいいよ」

耳元でディオはささやいた。


「国に戻ったら王子様だからね。

何でもかなえてあげるってわけにはいかないけど。

君のできることが見つかるまで、面倒みるくらいのことはできるよ」

「ディオ?」


しゃくりあげるのと、くすりと笑うのと両方同時にやるのは難しい。

その同時を器用にこなしながら、ダナは言った。


「あたしに優しくしようとしてる?」

「そうだよ、気がつかなかった?」

「気がつかなかった」

ディオはダナを抱きしめる腕に力をこめた。

誰も外に出てこないことを祈りながら。
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