空をなくしたその先に
これでよかったのだ。

あのままアーティカにいたら。

きっといつか憎しみをぶつけてしまっていた。

サラからヘクターを奪った彼女。

一人生き残った彼女。

とても愛しくて……憎い彼女。

「何だよ?」


気がつけばライアンが見下ろしている。


「何でもないわ。……あなたは自分の船にお帰りなさいな」


何度も自分に言い聞かせる。

これでよかったのだと。

本当にそうなのかと問いかけるもう一人の自分の声には、サラは耳をふさいでいた。

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