空をなくしたその先に
「よろしいのです?」


ライアンがいなくなるのを待ち構えていたように、アーティカから連れてきた部下が顔をのぞかせる。


「何が?」


涼しい顔で艦内の見回りに出て行くサラとは対照的に彼女の方は渋い顔だ。


「あの男好き勝手しすぎですわ」

「エレン……悪い相手じゃないわよ。少なくとも彼に悪気はないもの」


苦笑してサラはエレンの腕を掴んだ。


「そんなことより艦内を見回ってきましょ。

よく知らない人間が多数乗り込んでいるわけだしそちらの方が心配だわ」


自分はいい。

けれど、自分を信じてついてきてくれた彼女たちをどうしよう。

サラは、早くも戦争が終わった時のことを考え始めていた。
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